性に関連するたくさんの要素
性に関連する要素はたくさんあります。
- 身体の性
- 身体の性は、①性染色体(男性はXY、女性はXXなど)、②外性器や内性器の状態(ペニスや精巣があるか、子宮や卵巣があるか)、③性ステロイドホルモン(男性ホルモン、女性ホルモン)などの要素から成り立っています。思春期には、二次性徴により男性的、あるいは、女性的な体形へと変化します。身体的性の特徴は、ホルモン療法や手術などにより変化します。
- 好きになる性(性的指向)
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どの性を好きになるかを「性的指向」といい、その人に固有のものです。無理矢理に変えることはできませんし、変えようとする必要もありません。ただし、成長期はいろいろと揺れ動く時期でもあり、自分がもつ性的指向を断定するには、少し時間をかけて見ていくことも必要です。
同性愛の男性に「なぜ男性を好きになるの?」と尋ねることは、異性愛の男性に「なぜ女性を好きになるの?」と尋ねるのと同じことです。別に理由があるわけではありません。
- 性の自己認識(性自認)
ジェンダーアイデンティティー
実感する性 -
心の性(性の自己認識: 性自認)とは「自分は男」あるいは、「自分は女」という認識です。あなたは自分を男性だと感じますか、女性だと感じますか。
性別には、多くの人は「身体の性」と「心の性」が一致しているため、ふだんは意識することもなく過ごしています。しかし、全ての人が一致しているとは限りません。
心の性を否定することは自分を否定することにつながり、生きることが困難になります。誰だって「からだ」よりも「こころ」の性の方が自分自身だと感じると思います。
- 性別表現(表現としての性別)
- 髪形や服装などにより表現される性別のこと(性別表現)。他にも言葉使い や声の出し方などいろいろな方法で表現されています。
- 性役割(役割としての性別)
- 性別は、社会で役割を果たさなければならなくなるときにも強く自覚されます(性役割)。家庭で娘や息子として過ごすとき、また、学校で女子生徒として、あるいは、男子生徒として活動するときには、性別を自覚せざるを得ません。
- 社会に割り当てられた性別
- 戸籍の性別や保険証の性別など社会の中で指定された性別もあります。
性には他にもいろいろな要素が…
多様な性のあり方
性のあり方は多様です。
お互いの多様性を尊重することで、人々は生きやすくなります。
異性愛(ヘテロセクシュアル)
異なる性の人(男性なら女性、女性なら男性)を好きになる。

同性愛(ホモセクシュアル)
同じ性の人を好きになる。男性が男性を好きな場合はゲイ、女性が女性を好きな場合はレズビアン。

両性愛(バイセクシュアル)
男性も女性も好きになる。

無性愛
(アセクシュアル/エイセクシュアル)
ア(エイ)は否定の意味。どの性にも恋愛感情を持たない。

トランスジェンダーとシスジェンダー
心の性と出生時に割り当てられた性(多くは身体の性から割り当てられます。)とが一致していない場合はトランスジェンダー、一致している場合はシスジェンダーと呼ばれます。

- トランスジェンダーと性別不合
(性同一性障害) - 出生時に割り当てられた性と心の性とが異なるトランスジェンダーの人が自分の心の性に従って生きていくためには、まわりの理解と協力が必要です。
トランスジェンダーの人々のうち、身体の性を変えるための治療を希望し、医療施設を受診した人々の診断名として性別不合(性同一性障害)があります。ジェンダークリニックなどの専門の医療施設で診療が行われています。
- 性的マイノリティ、LGBTQ+
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上記のように性別を決定する要素は多く存在していますが、性的指向、性自認、その他の性の要素のうち1つでも多数派ではない人々は、広く、性的マイノリティと呼ばれます。
「LGBT」(L : Lesbian、レズビアン、G : Gay、ゲイ、B : Bisexual、バイセクシュアル、T : Transgender、トランスジェンダー)という言葉もあります。また、Queer(個性的)やQuestioning(揺れている、特定されたくない人々)の 頭文字を並べた「LGBTQ」、さらに、それ以外という意味の「+」をつなげた「LGBTQ+」などの言葉も、性的マイノリティ(性的少数者)の総称としても使われています。性的マイノリティ、LGBTの人々は人口の3~10%ともされます。
- 社会に割り当てられた性や
身体の性に違和感が強くなったら -
心の性と出生時に割り当てられた性(多くは身体の性から割り当てられる)とが一致しないトランスジェンダーの人々の多くは、思春期になり二次性徴で身体が変化すると辛い気持ちになります。心の性が男性の場合、月経が来ると「自殺したい」などと話す場合もありますし、心の性が女性の場合、ひげが生え、声が低くなることには恐怖感を持つこともあります。
現在、トランスジェンダーの子どもに対して、GnRHアナログなどの薬を使うことで、思春期の身体の変化(二次性徴)を一時的に止めておく治療が行われています。ただし、専門医療施設で慎重に経過を見ながら実施する必要があります。(岡山県不妊専門相談センターではメールや電話で思春期のこのような悩みの相談にも対応しています。)